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ゆうた先生
元特別支援学校教諭/株式会社THE SHIP代表
東京学芸大学大学院 教育学研究科 特別支援教育専攻修了。

特別支援教育・発達支援の現場で、子ども一人ひとりの発達段階や特性に合わせた支援に取り組んできました。

現在は、山梨県で児童発達支援・放課後等デイサービス「SHIP」を運営しています。

子どもを「できない子」として見るのではなく、「これから学び、できることを身につけていく子」として捉え、その子にとって今ちょうどいい関わり方を考えることを大切にしています。

ABA、行動理解、視覚支援、環境調整、保護者支援などを、現場や家庭で使える形にして発信しています。
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発達支援のケース会議の進め方|明日から試す支援が決まる45分モデル

発達支援のケース会議で、4人の支援者が7つの手順を確認しているイラスト
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この記事で扱う施設内のケース会議では、意見を出し切ることより、会議が終わるまでに「次に試す支援・担当・観察する変化・確認日」を決めることをゴールにします。

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、子どもの様子を丁寧に共有しても、話が広がって「結局、明日から何をするのか」が曖昧になることがあります。

原因を一つに決めるより、観察した事実と見立てを分け、確かめられる支援を小さく決めることが大切です。この記事では、施設内のケース会議を45分で進める7ステップと、進行役がそのまま使える問い、記録項目を紹介します。

会議の最後に残す5項目

  • 次に試す支援:一つか二つ
  • 担当者:誰が行うか
  • 実施条件:いつ・どの場面で行うか
  • 観察点:どの変化を記録するか
  • 確認日:いつ振り返るか
目次

この記事で扱うケース会議と、個別支援会議の違い

この記事でいう「ケース会議」は、日々の支援を職員間で振り返り、次に試すことを決める施設内の実務的な会議です。45分という時間は法令上の基準ではなく、限られた勤務時間の中で実施するための一例です。

一方、児童発達支援計画・放課後等デイサービス計画の作成や見直しに伴う個別支援会議、相談支援事業所が行う担当者会議、関係機関との会議には、それぞれ目的と必要な手続きがあります。施設内のケース会議だけで置き換えることはできません。

こども家庭庁のガイドラインでは、個別支援会議において支援に関わる職員へ意見を聴く機会を設け、年齢や発達の程度に応じて、子ども本人や保護者の意見を聴くことが示されています。施設の運営規程と自治体の案内を確認したうえで、会議の目的に合う参加者と手続きを選びます。

ケース会議の前に準備する6項目

会議時間を事実確認だけで使い切らないために、報告者は次の6項目を既存のケース整理用紙へ記入します。全生活歴を読み上げるのではなく、今日扱う一つの場面に必要な情報へ絞ります。

  1. 今日決めたい問い:「集団参加をどうするか」ではなく、「片付けから次の活動へ移る時、何を試すか」のように一つに絞る
  2. 扱う場面:いつ・どこで・誰といる時か
  3. 観察した事実:実際に見た行動、聞いた言葉、前後の出来事
  4. これまで試した支援と結果:何を行い、その後どう変わったか
  5. 本人の意向・強みと保護者の意向:本人が望んでいること、好きなこと、安心しやすい条件、会議の目的に必要な範囲で保護者から確認した希望
  6. 会議で決める範囲:次の1週間で試せることと、振り返る日

「落ち着きがない」「やる気がない」のような評価語を、観察できる事実へ直す方法は、支援記録で事実と解釈を分ける書き方で詳しく解説しています。

参加者と役割を決める

参加人数を増やすことより、目的に必要な人が参加し、役割が分かることを優先します。少人数の場合は、進行役が時間管理を兼ねても構いません。ただし、報告者が一人で説明・進行・記録をすべて担うと、検討が偏りやすくなります。

進行役

今日の目的を確認し、事実・見立て・支援案を分け、終了時間までに決定事項を読み上げます。

報告者

一つの場面を、観察した事実から説明します。自分の対応を評価してもらう場ではなく、チームが次の支援を考える材料を共有する役割です。

記録役

発言をすべて書き起こすのではなく、確認できた事実、残した仮説、次に試す支援、担当、観察点、確認日を記録します。

参加者・管理者

参加者は別の場面で見た事実と、実行可能な支援案を出します。管理者は、必要な人員や環境を確認し、担当者・開始日・振り返り日を確定します。

45分で進めるケース会議の7ステップ

この45分モデルは、1ケース・決める問い一つ・参加者3〜6名程度で、事前準備6項目が記入済みであることを前提とします。複数ケースや大人数の場合は、会議を分けるか時間を延長します。

最初から全体像を完成させようとせず、今日扱う一つの問いに集中します。話が広がった内容は「別に検討すること」として残し、目の前の進行へ戻します。

1.0〜3分|目的と終了時刻をそろえる

進行役が「今日は、片付けから次の活動へ移る時に試す支援を一つ決めます。終了は16時45分です」と伝えます。子どもや職員を責めず、見立ては断定せずに扱うことも確認します。

2.3〜10分|一つの場面を事実で共有する

報告者は、時間、場所、直前の状況、周囲の関わり、子どもの言葉や行動、その後の変化を説明します。参加者は、この段階では助言を急がず、不足している事実だけを質問します。

3.10〜15分|うまくいった条件と本人の強みを確認する

同じ活動でも困りごとが起きなかった時、本人が自分から動けた時、安心していた時を探します。困った場面だけでなく、すでに役立っている伝え方、好きなこと、分かりやすい環境を支援の材料にします。

4.15〜23分|見立てを二つか三つの仮説として出す

「予定の終わりが分かりにくかった可能性」「一斉の言葉だけでは次の行動が分かりにくかった可能性」のように、観察した事実から考えられる背景を複数出します。診断名や性格だけで原因を決めず、次の観察で確かめられる形にします。

5.23〜32分|次に試す支援を一つか二つに絞る

環境、伝え方、活動の量、見通し、選択肢など、明日から実施できる変更を出します。支援案を多く並べて終わらせず、負担が少なく、仮説を確かめやすいものを一つか二つ選びます。

6.32〜39分|担当・場面・観察点を決める

「担当職員が、片付け3分前に写真とタイマーを示す。次の1週間、移動までの時間と本人の伝え方を記録する」のように、誰が、いつ、どこで、何を行い、何を観察するかを決めます。

7.39〜45分|決定事項を読み上げ、確認日を決める

記録役が、次に試す支援、担当、開始日、観察点、記録場所、振り返り日を読み上げます。参加者が同じ内容を理解しているか確認し、1週間後など近い日程に短い振り返りを設定します。

30分しか取れない場合

事実とこれまで試した支援を会議前に記入し、会議では「目的3分・不足事実5分・見立て5分・支援選択6分・実施条件5分・読み合わせ6分」を目安にします。短くしても、確認日は省きません。

進行役が使える12の問い

事実をそろえる問い

  • 実際に見たこと、聞いたことは何ですか。
  • その直前と直後に、何がありましたか。
  • 同じ場面でも起きなかった日はありますか。

見立てを広げる問い

  • 本人には、どのように見えたり伝わったりしていたでしょうか。
  • どのような可能性が考えられますか。
  • その見立てと合わない事実はありますか。
  • 次回、何を観察すれば確かめられますか。

支援を決める問い

  • 明日から全職員が試せる、最小の変更は何ですか。
  • 環境や伝え方で変えられる点はありますか。
  • 本人の好きなことや、うまくいった条件をどう生かせますか。
  • どの変化があれば、支援を続けると判断できますか。
  • 誰が行い、どこへ記録し、いつ振り返りますか。

会議がまとまらない5つの原因と戻し方

1.テーマが広すぎる

「集団参加を改善する」ではなく、「朝の会で着席する前の伝え方」のように、場面を一つに戻します。

2.事実を確認する前に助言が始まる

進行役が「支援案は後で扱います。まず直前と直後の事実を確認します」と交通整理します。

3.見立ての正解を決めようとする

見立ては仮説として二つか三つ残し、どの観察や支援で確かめるかを決めます。

4.支援案が多すぎる

実行しやすさ、本人の負担、観察のしやすさで優先順位をつけ、次の1週間は一つか二つに絞ります。

5.「様子を見る」で終わる

何を見るのか、誰が記録するのか、いつ判断するのかを決めます。「次の1週間、活動開始までの時間を担当者が記録し、金曜日に確認する」のように具体化します。

そのまま使えるケース会議の記録項目

新しい様式を増やさず、施設で使っている記録やケース整理シートへ、次の項目を追加します。

会議日時:
参加者・役割:
今日決める問い:
対象場面:
本人・保護者の意向:
観察した事実:
うまくいった条件・本人の強み:
これまで試した支援:
支援後の変化:
見立て・仮説A:
見立て・仮説B:
次に試す支援:
担当者:
開始日・対象場面:
観察する変化:
記録する場所:
決定事項の共有先・共有方法:
振り返り日:
振り返り結果と次の判断:

氏名、生年月日、診断名、家庭情報などは、会議の目的に必要な範囲だけを施設の規程に沿って扱います。子どもの情報を、施設が利用を承認していない生成AI、外部フォーム、個人のメールやチャットへそのまま入力しないでください。

架空例|「切り替えが苦手」を、次の支援へ変える

以下は手順を説明するために作成した架空例で、実在する事例ではありません。

今日決める問い:自由遊びの片付けから次の活動へ移る時、何を試すか。

観察した事実:15時10分、片付けの一斉の声かけ後、遊具を持ったまま部屋の隅へ移動した。職員が次の活動の写真を示し、「あと1回」を伝えると、遊具を箱へ入れて移動した。

見立て:一斉の言葉だけでは次の予定と終わりが分かりにくかった可能性、遊びを自分で終える区切りが必要だった可能性を残す。

次に試す支援:片付け3分前に写真とタイマーで知らせ、最後に行う遊びを一つ選べるようにする。

観察点:予告後の本人の反応、片付けを始めるまでの時間、自分から伝えた言葉や行動を1週間記録する。翌週の金曜日に15分だけ振り返る。

担当者・期間・記録場所:当日の自由遊び担当職員が、翌開所日から1週間実施する。結果は既存の日々の支援記録へ残し、翌週金曜日に確認する。

会議後は、1週間試して15分で振り返る

  1. 会議当日に、決定事項を既存の記録場所へ残す
  2. 関係する欠席職員へ、支援手順・対象場面・記録項目・確認日を既存の共有場所で伝える
  3. 一つのケース・一つの場面で、1週間試す
  4. 日々の記録を「事実・行った支援・その後の変化」で残す
  5. 1週間後に15分で比べ、継続・修正・終了を決める
  6. 継続する場合は共通手順を更新し、14日後または30日後の再確認日を決める
  7. 変更・終了の理由も残し、古い手順が共有場所に残らないよう更新する
  8. 必要に応じて、個別支援計画のモニタリングと見直しへ戻す

支援が機能しなかった時は、職員の努力不足と考えるのではなく、見立て、実施条件、本人の反応を見直します。安全上の重大な懸念、虐待が疑われる状況、健康状態の急変などがある場合は、通常のケース会議を待たず、法令・自治体の案内と施設の緊急対応・通報・連携手順に従ってください。

ケース会議についてよくある質問

毎回45分取れない場合はどうしますか?

事実とこれまでの支援を事前記入し、30分版で実施できます。さらに短い場合は、前回決めた支援の振り返りだけを15分で行います。短くても、担当と次の確認日は残します。

職員の意見が分かれた時は、誰が決めますか?

一つの見立てを多数決で正解にせず、複数の仮説を残します。そのうえで、本人の利益と負担、安全性、実行可能性を確認し、次に何を観察すれば判断できるかを決めます。最終的な運用判断は、施設の役割分担と責任体制に従います。

子ども本人や保護者は参加しますか?

会議の種類と目的、本人の年齢や発達の程度、負担を踏まえて決めます。参加しない場合も、事前に意向を聴く、本人が表しやすい方法を使うなど、意見を検討へ反映します。正式な個別支援会議では、ガイドラインと施設・自治体の手続きを確認してください。

まとめ|会議の質は、翌日から試せるかで確認する

  • 今日決める問いと場面を一つに絞る
  • 事実、うまくいった条件、本人の意向から話す
  • 見立ては断定せず、二つか三つの仮説として残す
  • 次に試す支援を一つか二つに絞る
  • 担当、対象場面、観察点、確認日まで決める
  • 1週間試し、15分の振り返りで記録と計画へ戻す

この記事で扱う施設内のケース会議は、詳しい人が答えを出す場ではありません。異なる場面で見た事実を持ち寄り、子どもにとって負担の少ない支援をチームで小さく試す場です。

参考にした公的情報

管理者・児発管・研修担当者の方へ

会議で決めた支援を、30日間の実践へつなげたい施設へ

職員ごとに記録や支援が異なる、会議後に元の方法へ戻るといった課題を、研修と施設内テンプレートで整理します。2時間の標準オンライン研修と、30日実践シート・管理者振り返り・60分ケースレビュー・1か月フォローを含む30日実装型があります。

法人研修PDFは、フォームから資料を希望された方へ個別にご案内します。

発達支援のケース会議で、4人の支援者が7つの手順を確認しているイラスト

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この記事を書いた人

ゆうた先生のアバター ゆうた先生 株式会社THE SHIP代表取締役/元特別支援学校教諭

株式会社THE SHIP代表取締役。東京学芸大学大学院教育学研究科特別支援教育専攻修了。元特別支援学校教諭。現在は山梨県で、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援を運営しています。子どもの行動の背景を丁寧に捉え、家庭や支援現場で実践できる発達支援・特別支援教育の情報を発信しています。

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