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ゆうた先生
元特別支援学校教諭/株式会社THE SHIP代表
東京学芸大学大学院 教育学研究科 特別支援教育専攻修了。

特別支援教育・発達支援の現場で、子ども一人ひとりの発達段階や特性に合わせた支援に取り組んできました。

現在は、山梨県で児童発達支援・放課後等デイサービス「SHIP」を運営しています。

子どもを「できない子」として見るのではなく、「これから学び、できることを身につけていく子」として捉え、その子にとって今ちょうどいい関わり方を考えることを大切にしています。

ABA、行動理解、視覚支援、環境調整、保護者支援などを、現場や家庭で使える形にして発信しています。
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児童発達支援の支援記録|「事実」と「解釈」を分ける書き方と記録例

発達支援の記録で事実と解釈を分けて整理する支援者のイラスト
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児童発達支援・放課後等デイサービスの支援記録は、「観察した事実」「そこから考えた解釈」「行った支援」「その後の変化」を分けて書くと、職員が変わっても場面と支援意図を共有しやすくなります。

たとえば「落ち着きがなかった」だけでは、何が起き、どの支援が役立ったかが分かりません。「10時5分、片付けの声かけ後に床へ座った。写真カードを示すと立ち上がった」のように、言葉・行動・時間・周囲の対応を具体的に記します。

この記事では、事実と解釈が混ざった例の直し方、次の支援につなげる記録例、職員間で書き方をそろえる方法を紹介します。

この記事のポイント:「見た・聞いた事実」→「考えられる理由」→「次に試す支援」の順に整理すると、記録が支援につながります。

ゆうた先生

記録は、子どもを評価するためのものではありません。次の支援をチームで具体的に考えるための材料として使っていきましょう。

この記事で扱う範囲:日々の支援を振り返り、次の関わりを考えるための記録です。個別支援計画、事故・ヒヤリハット、医療・服薬、安全管理等の記録を置き換えるものではありません。保存方法や個人情報の取扱いは、法令・自治体の案内・所属先の規程に従ってください。

目次

1.「事実」と「解釈」の違い

事実とは、見た人が変わってもおおむね一致する情報

事実は、実際に見た行動や聞いた言葉、時間、回数、周囲の状況などです。できるだけ、あとから別の職員が場面を思い浮かべられるように書きます。

  • 10時5分、片付けの声かけ後に床へ座った
  • 「まだ遊ぶ」と3回言った
  • 職員が次の活動の写真を見せると、立ち上がって移動した

解釈とは、事実から考えた意味や理由

解釈は、「なぜその行動が起きたのか」「子どもはどう感じていたのか」という見立てです。見立ては支援を考えるうえで必要ですが、事実と同じように断定すると、思い込みが共有されてしまうことがあります。

  • 遊びを終えることに納得できなかったのかもしれない
  • 次に何をするか分からず、不安だった可能性がある
  • 言葉だけの説明では、見通しを持ちにくかったと考えられる

「〜と思われる」「〜の可能性がある」「〜かもしれない」と書くと、仮説であることが伝わります。

2.事実と解釈が混ざった記録例

片付けを嫌がり、わがままを言って活動に参加しなかった。職員の話も聞いていなかった。

この記録には、出来事の様子が十分に書かれていません。「嫌がった」「わがまま」「話を聞いていない」は、書き手の評価や推測を含む言葉です。これだけでは、別の職員が同じ場面を再現できず、どのような支援を試せばよいかも決めにくくなります。

ゆうた先生

「わがまま」を「『まだ遊ぶ』と3回言った」に置き換えるだけでも、場面がぐっと共有しやすくなります。

3.事実と解釈を分けた記録例

事実

10時、自由遊びの終了を口頭で伝えた。Aさんはブロックを持ったまま「まだやる」と言い、床に座った。職員が「ブロックを箱に入れたら、次は体操」と写真カードを示すと、カードを約5秒見た。その後、自分でブロックを箱に入れ、体操の場所へ移動した。

解釈・見立て

遊びを続けたい気持ちに加え、口頭の案内だけでは次の活動をイメージしにくかった可能性がある。写真カードを見た後に行動できたため、視覚的に手順を示すことが見通しにつながったと考えられる。

次に試す支援

  1. 終了の5分前と1分前に予告する
  2. 「片付け→体操」の順番を写真で示す
  3. 同じ支援を数回試し、移動までの時間や必要な声かけの回数を記録する

4.記録を支援方針につなげる4つの視点

① 行動の前に何があったか

誰が、いつ、どのような声をかけたか。活動や場所が変わったか。待ち時間や音、人の多さはどうだったか。行動の直前を具体的に確認します。

② 本人が何をしたか

「パニックになった」ではなく、言った言葉、体の動き、続いた時間、回数などを書きます。安全に関わる行動は、距離や周囲の状況も残します。

③ 行動の後に何が起きたか

周囲がどう対応し、本人の行動がどう変化したかを記録します。「静かな場所へ移動すると3分ほどで呼吸が落ち着いた」など、変化が分かる書き方が役立ちます。

④ うまくいった条件は何か

困った場面だけでなく、参加できた場面も記録します。伝え方、提示物、座る位置、活動量、関わった人などを比べると、本人に合う支援の手がかりが見つかります。

5.ケース例|活動の切り替えで泣く・逃げる

観察した事実:制作終了の声かけ後、Bさんは泣きながら廊下へ出た。職員が追いかけて「戻ろう」と3回伝えると、しゃがんで耳をふさいだ。約2分後、職員が少し離れて「赤い箱に入れたらおしまい」と完成品を入れる箱を示すと、自分で作品を箱へ入れ、手洗いへ移動した。

考えられること:制作を急に終えることへの戸惑いに加え、声かけが重なることで負担が大きくなった可能性があります。また、作品をどうすれば活動が終わるのか分からなかったことも考えられます。

次の支援:終了前にタイマーと写真で予告し、完成品を置く場所を最初から見える位置に準備します。泣いたときは言葉を重ねすぎず、短い言葉と視覚情報で伝えます。その結果を同じ形式で記録し、支援の効果を確かめます。

ひとつの記録だけで理由を断定せず、似た場面の記録を重ねて考えることが大切です。体調、睡眠、空腹、痛みなどの影響が考えられる場合は、必要に応じて保護者や関係職種と情報を共有します。

ゆうた先生

ひとつの記録だけで決めつけず、同じ形式で記録を重ねることがポイントです。うまくいった条件も忘れずに残しましょう。

6.記録するときに避けたい3つのこと

① 人格を評価する言葉でまとめる

「わがまま」「乱暴」「やる気がない」では、支援の方法が見えません。本人を評価する言葉を、観察できる行動に置き換えます。

② 原因をひとつに決めつける

行動には複数の要因が関係します。「感覚過敏だから」「発達障害だから」と特性だけで説明せず、環境や伝え方、課題の難しさ、体調なども確認します。

③ 困った行動だけを残す

うまくいった場面は、支援を組み立てるための重要な情報です。「できた・できなかった」だけでなく、どのような条件ならできたのかを記録します。

7.職員間や保護者への説明に活用する方法

職員間で共有するときは、「問題行動があった」ではなく、事実・見立て・支援・結果をセットにします。担当者が変わっても同じ支援を試しやすくなり、支援のばらつきを減らせます。

保護者へ伝えるときも、評価語を避けて具体的な様子を共有します。たとえば、「今日は落ち着きがありませんでした」ではなく、「予定変更を伝えた後に廊下を3往復しました。予定表を一緒に確認すると教室へ戻れました」と伝えると、園・学校・家庭で手がかりを共有しやすくなります。

管理者向け|記録の書き方を職員間でそろえる4ステップ

施設で記録の質をそろえるときは、職員の文章力を評価するのではなく、「次の職員が同じ場面を想像し、同じ支援を試せるか」を基準にします。記録様式を一度に作り直さず、一つのケースから小さく試します。

1.共通する4項目を決める

「観察した事実」「解釈・見立て」「行った支援」「結果(その後の変化)」の4項目を共通にします。既存様式を全面変更せず、今の記録欄に見出しを加えるだけでも始められます。

2.一つのケースで1週間試す

全利用児・全職員へ一度に広げず、支援をそろえたい一つの場面で試します。担当職員は同じ項目で記録し、うまくいった条件も残します。

3.15分の振り返りで条件を比べる

文章の上手下手ではなく、事実と解釈が分かれているか、支援と結果がつながっているかを確認します。解釈が異なるときは、どちらかを正解にせず、次に観察する点を決めます。

4.次の支援・担当・確認日を決める

ケース会議の最後に「何を試すか」「誰が行うか」「いつ振り返るか」を決めます。結果は次回の記録と個別支援計画のモニタリング・見直しに戻します。

こども家庭庁の児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドラインでは、継続的なアセスメント、支援の実施状況の把握、モニタリングと見直しを通じたPDCAが示されています。この記事では、日々の支援記録をその検討材料として位置づけています。施設ごとの正式な記録様式や保存方法は、自治体の案内と所属先の規程も確認してください。

記録の目的は、全員が同じ文章を書くことではありません。事実と仮説を分け、次に試す支援をチームで共有できる状態をつくることです。

そのまま使える記録テンプレート

  • 日時・場所:
  • 行動の前にあったこと:
  • 本人の言葉・行動(時間・回数):
  • 周囲の対応と、その後の変化:
  • 考えられる理由(仮説):
  • 次に試す支援:
  • 次回確認すること:

まとめ|記録は子どもを評価するためではなく、支援を考えるために使う

よい記録は、子どもに評価をつける記録ではありません。本人がどのような場面で困り、どのような関わりや環境なら力を発揮しやすいのかを、チームで考えるための材料です。

  • 事実は、行動・言葉・時間・回数・状況で具体的に書く
  • 解釈は断定せず、仮説として事実と分ける
  • 「次に何を試すか」まで記録する
  • うまくいった条件も残し、同じ形式で記録を重ねる

まずは次の記録から、「見たこと」と「考えたこと」を別の欄に書いてみてください。それだけでも、支援の話し合いは具体的になります。

参考にした公的情報

管理者・研修担当者の方へ

記録の書き方を、施設全体の支援へつなげたいときに

職員ごとに記録や支援が異なる、ケース会議で次に試すことが決まらない、といった課題を、共通の記録項目とケース整理テンプレートで整えます。2時間の標準研修と、30日間の実践・管理者振り返り・ケースレビューを含む実装型研修があります。

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発達支援の記録で事実と解釈を分けて整理する支援者のイラスト

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この記事を書いた人

ゆうた先生のアバター ゆうた先生 株式会社THE SHIP代表取締役/元特別支援学校教諭

株式会社THE SHIP代表取締役。東京学芸大学大学院教育学研究科特別支援教育専攻修了。元特別支援学校教諭。現在は山梨県で、児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援を運営しています。子どもの行動の背景を丁寧に捉え、家庭や支援現場で実践できる発達支援・特別支援教育の情報を発信しています。

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